高次脳機能障害1
ホーム > 高次脳機能障害1

高次脳機能障害1

近年、高次脳機能障害という用語はマスコミでも取り上げられることが多くなり、世間一般でも広く知られるようになってきたといえます。また、高次脳機能障害者への支援体制も徐々に拡充されつつあります。2008年3月1日には、高次脳機能障害者が主人公の「ガチ☆ボーイ」という映画が公開されました。これらの点からすれば、高次脳機能障害という存在は一般的に定着しつつあるといえるかもしれません。

 

高次脳機能障害とは、病気や事故などにより脳の機能(高次脳機能)に障害が生じることをいいます。高次脳機能障害は、脳血管障害、低酸素脳症、外傷性脳損傷などで起こりうるとされています。高次脳機能障害はもとは状態名であり、診断名ではなかったとされています。

 

高次脳機能障害について調べてみると、学術的な場面、行政の障害保健福祉分野、労災や交通事故における保険請求の関係など、その場面により説明の仕方も様々ですが、いずれも脳へのダメージが原因として後天的に発症するということ、そして多様な症状が存在する障害であるという点は、現在においては共通しているものと思われます。

自賠責の高次脳機能障害…

交通事故で問題とされる高次脳機能障害は、脳外傷に起因するものが中心となります。自賠責保険は労災保険の障害認定基準を準用しますが、労災保険の障害認定基準では「高次脳機能障害とは認知、行為(の計画と正しい手順での遂行)、記憶、思考、判断、言語、注意の維持などが障害された状態であるとされており、全般的な障害として意識障害や痴ほうも含むとされている」と説明されています。自賠責の後遺障害等級認定においては、このように高次脳機能障害を捉えたうえで交通事故に起因する高次脳機能障害につき厳格な基準を設け、その基準によって後遺障害の等級認定の判断がなされています。

 

自賠責の高次脳機能障害については、等級認定の判断も困難を伴うものと思われますが、高次脳機能障害は症状固定の判断も他の障害に比べ、より難しいものであるといわれています。

 行政の障害保健福祉分野の定義

さて、労災や交通事故における保険請求についての高次脳機能障害の定義は以上のとおりですが、学術的な定義、行政の障害保健福祉分野の定義などのそれぞれの場面で、用いられている定義には相違が見られます。

 

高次脳機能障害支援モデル事業では作成された行政の障害保健福祉分野で利用される診断基準が示されていますが、前文において学術的な定義と行政の障害保健福祉分野の定義がそれぞれ説明されています。まず、学術的な定義について述べられ、「学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。」と説明されています。

 

その後、行政の障害保健福祉分野に続き、「平成13年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において集積された脳損傷者のデータを慎重に分析した結果、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する一群が存在し、これらについては診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立しておらず早急な検討が必要なことが明らかとなった。そこでこれらの者への支援対策を推進する観点から、行政的に、この一群が示す認知障害を「高次脳機能障害」と呼び、この障害を有する者を「高次脳機能障害者」と呼ぶことが適当である」と説明されています。

 

つまり、高次脳機能障害の定義の行政的なものとしては、「記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する障害を行政的に高次脳機能障害と呼ぶ」ということになるでしょう。

高次脳機能障害の説明も多少異なる部分あり

労災や交通事故における保険請求関係での説明、学術用語としての説明、行政の障害保健福祉分野の説明について、それぞれを読み比べてみると、大体同じような説明なのですが、多少異なる部分があることに気がつきます。同じ高次脳機能障害という言葉が使われる場合でも、ケースによって幅が生じることもあるわけです。これにより、当事者に混乱が生じることもあるかもしれません。また、場合によっては、ある制度では高次脳機能障害者として扱われるのに、別の制度では高次脳機能障害者としての制度の利用ができないこともありえるでしょう。様々な事案に対応するためにも、診断基準や認定基準のそれぞれの目的や相違点が意識されることに意義があるのではないかと考えるところです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
気になることがございましたら、お手数ではございますが、
バナー↓をクリックしてお問い合わせください。



事務所概要

松浦行政書士事務所
〒691-0001
島根県出雲市平田町604-2
TEL:0853-31-6899

対応地域

当事務所は、島根県の松江市・出雲市・安来市・雲南市など旧平田市近隣を主な活動範囲としておりますが、大田市・奥出雲町、鳥取県の米子市・境港市などの周辺地域からのご要望にもお応えできるよう努めております。また、これら以外の地域からのご相談も、できる限りお応えしていきたいと思います。

お知らせ

平成26年3月12日ホームページを公開しました。

松浦行政書士事務所
モバイルサイト